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2022年01月20日 お知らせ

茨城県産業技術イノベーションセンターとの共同研究について

村井醸造ではお酒を造るにあたって重視していることが3点あります。

   

①安全で安心して飲める酒を造ること

②再現性が高いこと(安定した品質を目指すこと)

③強い酒質を目指すこと

   

これらを総合的に考えた結果、村井醸造の酒母造りは2020BYから全量普通速醸酛を採用しています。

  

①安全・安心という観点、そして②再現性が高いという観点では、自然の菌の活動に委ねる部分の大きい生酛系酒母よりも、速醸系酒母の方がこれらを高いレベルで実現できます。

また、③強い酒質を目指すという観点では「中温速醸」や「高温糖化酛」とくらべて低温で、倍程度の期間をかける普通速醸では強い酒母を育てることができ、それは酒質にも現れます。

   

今回の乳酸菌添加酛は、安全性・再現性を持つ生酛造りを目指すということを念頭に置いた酒母造りを可能にする手法はないか、と考えたことがきっかけでした。

そのような中、茨城県産業技術イノベーションセンターの飛田博士に相談したところ、彼らの研究グループが、低温下でも乳酸を生じさせ、且つ清酒酵母を雑菌等による汚染リスクの少ない発酵環境に導くことができる乳酸菌株を開発したものの、まだ使い道が決まっていなかったことを知りました。

そして今期、この乳酸菌株を使って、新たな日本酒造りに関する共同研究を始めました。

   

この乳酸菌株を使用して自然乳酸を活かした酒母を造ることは、村井醸造が重視する上記の3点をすべて満たしています。

①安全・安心→従来の生酛造りでは乳酸菌が湧いてくる間の汚染リスクが高い時期を、乳酸菌添加を初期から行うことで回避することができます。

②再現性→従来の生酛造りではどの種類の乳酸菌が湧いてくるか選別不能であり、結果、出来上がる酒も再現性を高めることが難しいところ、選抜した乳酸菌株を使用することで毎回再現性の高い酒造りをすることが可能になります。

③強い酒質→高温糖化で造る乳酸菌添加酛では醪へ移った際に、醪後半で発酵が弱まるところ、低温から始める普通速醸タイプの乳酸菌添加酛であれば、醪後半でもしっかり発酵することができ、強い酒質を目指すことが可能になります。

   

以上のことから、村井醸造では今回の共同研究による乳酸菌添加酛を進め、重視する3点を満たした、自然乳酸による酒母造りを極めていこうと考えています。